散歩の途中で、赤い鳥居が見える。ワンコと一緒にお参りできたらと思ったとき、「お稲荷さんは犬が苦手らしいよ」と聞いたことが気になるかもしれません。旅先の伏見稲荷大社なら、なおさら行く前に確かめておきたいところです。
伏見稲荷大社は、犬やペットを連れての散歩・参拝を禁止しています。介助犬など、参拝に必要な場合は除きます。ほかの稲荷神社は、場所ごとに案内が違います。「犬が苦手」という話は、一部の地域に残る言い伝えです。
伏見稲荷・豊川稲荷は犬連れで行ける?ほかの稲荷は?
伏見稲荷大社(京都府)
京都の伏見稲荷大社は、2022年1月1日付の禁止事項の一覧に、犬やペットを連れての散歩と参拝を入れています。理由は、神さまをお祀りする場所の尊厳と秩序を守るためで、狐と犬の相性には触れていません。
抱っこやキャリーなら入れる、とも書かれていません。
近くに住んでいるなら、愛犬にはおうちでお留守番してもらう形があります。旅行で連れて来ているなら、家族と交代でお参りする、預け先を探しておくなど、先に決めておくと現地で迷いにくくなります。帰ってから「行ってきたよ」と声をかけるのも、いいですね。
豊川稲荷(愛知県)
愛知県の豊川稲荷も、境内の環境を守るため、ペット連れの参拝は遠慮するよう案内しています。「稲荷」と付いていますが、曹洞宗の寺院です。
ほかの稲荷神社
ほかの稲荷神社は、神社・寺院ごとに決まりが違います。案内に犬のことが書かれていなくても、連れて行けるとは限りません。一緒に入れるかの見分け方は、こちらにまとめています。

※ペットの同伴の可否は、神社・寺院によって異なり、変わることもあります。訪れる前に、公式サイトや電話で最新の案内を見ておくと確実です。
「お稲荷さんは犬が苦手」と言われるのはなぜ?
はっきりした理由は、分かっていないようです。残っているのは、一部の地域の言い伝えです。
1949年の民俗の記録『民間伝承』には、いまの鳥取県米子市・大分県宇佐市にあたる地域の話として、稲荷を祀っているので犬を飼わない、という言い伝えが載っています。
ただ、全国に共通する話かどうかまでは、この記録からは読み取れません。伏見稲荷大社や豊川稲荷が犬連れを断っている理由も、それぞれの場所の尊厳や環境を守るためで、言い伝えとは別の話です。言い伝えは言い伝えとして、いま一緒に暮らしているうちの子のことは、分けて考えていいと思っています。
稲荷神社で見かける狐の像は、稲荷大神そのものではなく、神さまのお使いとされています。狐と神さまの関係は、神使とは?でも紹介しています。
家にお稲荷さんの祠があって、犬と暮らすとき
実家の庭など、家の敷地に小さなお稲荷さんの祠(ほこら)を祀る、屋敷稲荷(やしきいなり)の家もあります。ワンコを迎えたら、まず見ておきたいのは、お供え物と火です。
お供えは、犬の口に入らないように
お供えは、家や地域でいろいろです。米・塩・水を供える家もあれば、初午(はつうま)の日に赤飯やいわし、油揚げを供える例もあります。初午の日や、狐と油揚げの話はお稲荷さんの狐の記事で紹介しています。
庭の低い祠だと、置いたままのお供えを、あとからワンコが食べてしまうことがあります。お参りがすんだら、早めに下げておくと安心です。お供えをするあいだは、ワンコを家に入れておくか、リードをつけてそばで見守っていられるといいですね。
犬がお供えを食べてしまったときや、様子がいつもと違うときは、食べた物と量をメモして、動物病院に相談してください。
灯りの火は、犬がいないときだけ
ろうそくなどの灯りを使う家では、犬がそばにいるときは火を灯さず、その場を離れる前に消します。犬がぶつかって倒せば、やけどや火事につながります。火を使わない、灯りだけのLEDろうそくに替える方法もあります。
おまつりの仕方に迷ったら
祠のおまつりで分からないことがあれば、どこの稲荷から迎えたか分かる場合はその神社・寺院に、分からなければ、その土地を守る近くの神社に相談してみるのもひとつです。
まとめ:行く前は案内を、家ではお供えと灯りを
出かける前にはその神社の案内を、家に祠があるならお供えと灯りが犬の届く所にないかを、一度見ておくと安心です。ここに書いたのは、暮らしの中の目安です。持病のある子や心配なことがある子は、かかりつけの先生にも聞いておくと心強いです。
「おいぬ様」と呼ばれる狼の神さまの話なら、おいぬ様の神社もどうぞ。

参考にしたページ・資料
犬・ペット連れの散歩と参拝の禁止・狐は神さまのお使い … 伏見稲荷大社(京都市伏見区)
ペット連れの参拝・寺院であること … 豊川稲荷 妙嚴寺(愛知県豊川市)
稲荷を祀って犬を飼わない言い伝え … 『民間伝承』1949年(国際日本文化研究センター 怪異・妖怪伝承データベース)
屋敷稲荷の初午のお供え … 多摩市史




