お稲荷さんの狐の像、よく見ると、口に何かくわえていることがあります。
お稲荷さんの狐がくわえているものは、稲穂・稲倉(いなぐら=稲をしまう倉)の鍵・玉・巻物など。どれもお稲荷さんの神さま(稲荷大神)にゆかりのある物です。
狐がくわえているのは、稲穂・鍵・玉・巻物
同じお稲荷さんでも、像によって口元はさまざまで、向かい合う2体が別々の物をくわえていることもあります。
くわえているものの意味を、神社が説明している例もあります。宮城県岩沼市の竹駒神社にある、跳びはねる姿の狐の像は、口に稲穂と鍵をくわえています。稲穂は稲荷大神が司るもの、鍵は閉じたものを開くもの。五穀豊穣(作物がよく実ること)と開運招福(運が開けて福が来ること)をもたらすという意味が込められている、と神社は案内しています。
岡山県には、室町時代につくられたと考えられる木の狐の像が一対残っています。向かって右の狐は玉、左の狐は鍵をくわえた姿。ずいぶん昔の狐も、口元に何かをくわえていたんですね。
そもそも、なぜお稲荷さんに狐?油揚げとの関係も
「お稲荷さんは狐の神さま?」と思っていた方もいるかもしれません。稲荷大神と狐は別で、狐は神さまのお使いです。

では、なぜ狐なのでしょう。説明はいくつかあります。
ひとつは、田の神さまとの話。山の神が春に里へ下りて田の神となり、秋に山へ帰る、という昔からの信仰があります。
狐も初午のころから秋まで里に姿を見せる。その季節が重なることから、神さまのお使いとされるようになった、という説明です。田んぼのそばで狐を見ていた昔の人の感覚が、そのまま残っているような話だと思っています。
もうひとつは、名前の話。食べ物の神さまを「御饌神(みけつかみ)」といい、その「みけつ」が、音の似た「三狐(みけつね)」になった、という説もあります。
狐の好物とされる油揚げも、お稲荷さんとつながっています。いなり寿司の名前も、ここから。油揚げを使った寿司が稲荷社へのお供えに欠かせなかったことから、そう呼ばれるようになったといわれています。お供えした油揚げにごはんを詰めたのが始まり、という説もあります。
初午(はつうま)はいつ?2027年は2月8日
初午は、2月に入って最初の「午(うま)の日」。お稲荷さんのお祭りの日です。暦では日にも十二支が割り当てられていて、12日でひと回りするので、日付は毎年変わります。
伏見稲荷大社では、稲荷大神が稲荷山に鎮まったのが2月の初午の日と伝えられ、毎年、初午大祭が行われます。この日のお参りは「福参り(ふくまいり)」とも呼ばれています。ご神木の杉の小枝「しるしの杉」を、商売繁昌や家内安全のしるしとして受ける風習があります。
2027年の初午は2月8日(月)です。ただ、3月に初午のお祭りをする神社もあります。お参りを考えているなら、お出かけ前にその神社の公式サイトで日取りを確かめてみてください。
初午の祭りに、油揚げを供えてきた土地もあります。家では、その日の夕ごはんをいなり寿司にしてみるのも楽しそうです。
ワンコと狐を見に行くなら
お散歩コースにお稲荷さんがあれば、ワンコと一緒に狐を見に行けることもあります。犬連れで入れるかは神社ごとに違うので、近くのお稲荷さんなら、入口の掲示を見てから入ると安心です。遠出するなら、先に公式サイトで確かめておけるといいですね。
なお、京都の伏見稲荷大社は、介助犬などを除き、犬やペットを連れての参拝ができません。犬連れのお参りの話は、別の記事にまとめています。

まとめ:次は、狐の口元を見てみる
狐の口元は、像によってさまざまです。次にお稲荷さんの前を通ったら、ちょっと見てみてください。2027年の初午、2月8日に合わせて出かけてみるのもいいですね。

参考にしたページ・資料
狐がくわえている物・稲荷大神は狐ではない・みけつの説・初午大祭・福参り・しるしの杉・犬連れの参拝 … 伏見稲荷大社
稲穂と鍵の意味(五穀豊穣・開運招福) … 竹駒神社(宮城県岩沼市)
玉と鍵をくわえた室町時代の狐の像 … 岡山県(県指定重要文化財「木造狐像」)
油揚げといなり寿司・初午の油揚げ … 農林水産省「うちの郷土料理」
田の神と狐の季節・2027年の初午(2月8日)・3月の初午祭 … 笠間稲荷神社(茨城県)・祐徳稲荷神社(佐賀県)




