神社の入口で狛犬を見て、ふと足元に目をやる。すると、片方は前足で丸い玉を押さえ、もう片方は小さな子どもを踏んでいる……ように見える一対に出会うことがあります。
「えっ、子ども連れ?」と、思わず二度見してしまう狛犬です。あの玉と子どもには、呼び名があります。玉を押さえた姿は「玉取り」、子どもを足元に置いたり抱いたりする姿は「子取り」。
狛犬の阿吽や左右の見分け方は、こちらの記事で紹介しています。

足元の玉と子どもは「玉取り」「子取り」
東京都府中市の大國魂神社(おおくにたまじんじゃ)では、門の前に、子どもの狛犬に前足を乗せた狛犬と、鞠(まり)に足を乗せた狛犬が一対で並んでいます。これが「子取り・玉取り」と呼ばれる形です。江戸の終わりごろから作られた狛犬に見られるようになった、と紹介されています。
でも、玉と子どもを持つ姿は、もっと昔にもありました。福岡県宗像市の宗像大社(むなかたたいしゃ)に伝わる一対は、片方が子獅子を抱き、もう片方が玉を持っています。中国の南宋から渡ってきたと考えられ、奉納されたのは1201年。800年以上前の狛犬にも、同じような玉と子の姿があったんですね。
東京都中央区の水天宮にも、一方が前足で玉を、もう一方が子犬を守る姿の狛犬がいます。
玉と子どもには、どんな意味がある?
子どもの狛犬には、子孫繁栄や五穀豊穣の願いが表されている、という見方があります。
では、玉は何を表すのでしょうか。こちらは、どこでも同じ意味とは言い切れません。ルーツの中国の獅子像では、玉を持つほうが雄、子を抱くほうが雌とされることがあるそうです。その見方で大國魂神社の一対を見ると、玉の側の背中にも子どもが一匹よじ登ろうとしていて……子どもに甘いお父さんのようで、ほほえましくなります。
北海道札幌市の上手稲神社(かみていねじんじゃ)には、玉取りの玉を蹴鞠の鞠にした狛犬がいます。2006年に奉納されたこの一対には、「球技上達・文武両道」の願いが込められています。
逆立ちに玉乗り…いろいろな狛犬
丸い玉に前足を乗せた形は「玉乗り狛犬」とも呼ばれ、広島県尾道市の八坂神社にもいます。足元を見ているうちに、狛犬そのものの姿も気になってきます。
福岡県水巻町の伊豆神社には、逆立ちした狛犬もいます。参拝する人を出迎えるのに、まさかの逆立ち。なかなかの張り切りぶりです。
石川県の金沢では、逆立ち狛犬のいる神社をめぐって歩く「加賀逆立ち狛犬めぐり」という催しのコースが組まれたことも。逆立ちの狛犬を探しながらの街歩き、なんだか楽しそうですね。
いつもの神社の一対と、出先で見つけた一対。顔や足元を見比べるのも、狛犬めぐりの楽しさのひとつだと思っています。
狛犬とシーサーは同じ?
狛犬を見て、沖縄のシーサーを思い出すことはありませんか。まったく同じもの、というわけではありません。ただ、どちらも獅子の像につながる、遠い親戚のような間柄です。
シーサーは獅子のことだといわれ、13〜14世紀ごろに中国から沖縄へ伝わったとされています。狛犬にも、中国から朝鮮半島の高麗を経て日本に伝わった、という説があります。シーサーといえば屋根の上を思い浮かべるかもしれませんが、もともとは地上に置かれた石獅子だったそうです。
おみやげのシーサーを家でどう置くか、向きやオス・メスの話は、シーサーの置き方で紹介しています。
うちの子とお散歩で、狛犬を見るなら
ワンコの目には、狛犬はどう見えているのでしょう。自分より大きな「お兄さん犬」に見えているのかもしれません。じっと見つめて固まる子、においを確かめに行く子、なぜか吠えてしまう子。目を見開いた迫力のある狛犬だと、怖がる子もいます。
そんなときは無理に近づけず、少し離れた所から一緒に眺めるくらいが、ちょうどいい距離です。
ワンコと一緒に境内に入れるかは神社ごとに違うので、見分け方はペットと一緒に神社参拝はいい?でどうぞ。入れる神社なら、においをかぎに行って足を上げたくなる子もいるので、狛犬のそばではリードを短めに持っておくと安心です。
まとめ:次の狛犬は、足元をのぞいてみる
次に神社の狛犬を見かけたら、口の開き方や角を見たあとに、足元も。玉か、子どもか、それとも何もないか。ワンコとのいつもの散歩道に神社があるなら、入口からのぞいてみるのも楽しそうです。
狛犬の代わりに、狐や牛がいる神社もあります。そんな神社の動物の話は、神使とは?で紹介しています。

参考にしたページ・資料
大國魂神社の子取り・玉取り・中国の獅子像の雄と雌 … 府中市立図書館
宗像大社の一対(南宋から・1201年) … 宗像・沖ノ島 文化財データベース
子どもの狛犬の願い … 奈良県
逆立ち狛犬・加賀逆立ち狛犬めぐり … 水巻町歴史資料館・石川県
シーサーは獅子・中国から・石獅子 … 沖縄県・南風原町
狛犬の伝わり方・狐や牛の神社 … 神社本庁




