スマホの写真を見返しながら、「どれがいちばんその子らしいだろう」と迷う。その時間は、そのままその子との思い出を辿る時間でもあります。ペットの遺影は、SNSに載せた一枚でも作れます。写真を選び、アプリで整え、印刷して飾るまでを順に紹介します。
ペットの遺影とは?——「遺影」と呼ばなくても大丈夫
ペットの遺影とは、亡くなったペットさんの写真のこと。人の供養で使われる印象が強い言葉なので、ペットにはその言葉を使わず、「写真を飾る」「うちの子の写真を置く」と考える方もいます。それでも、写真を飾って手を合わせることは、ペット供養の中でもとても自然なこと。意味としては十分に通じる言葉です。
ただ、「遺影」という呼び方だと少し重く感じてしまう方もいます。そういうときは、無理にその言葉を使わなくていいと思います。普段から撮りためてきた、その子を思い出せる大切な一枚。そう受け取ったほうが、気持ちにもなじみやすいのではないでしょうか。
もうひとつ。人の場合のように白黒にしたり、背景を整えたり、黒い枠に入れたりしなくても大丈夫です。カラーのまま、日常の表情のまま。それで十分にその子の場所ができます。
どんな写真を選ぶ?——正面を向いていなくていい
「ちゃんとした一枚を選ばないといけないのかな」
「目線がこっちを向いていないとだめ?」
そう迷うこともあると思います。でも、きれいに正面を向いた写真でなくてもかまいません。選ぶ目安は、その子らしい表情がよく出ているか、見ていて「この子だな」と感じられるか。リラックスしている顔、いつもの寝顔、こちらを見ている何気ない一枚。ペットさんだからこそ、かしこまりすぎない写真のほうが自然に見えることもあります。
インスタグラムなどのSNSで日頃からその子の写真を投稿していた方の中には、投稿した一枚を選ぶ方もいます。「みんなに可愛いと思ってもらえた写真をそのまま飾ってあげたい」という気持ちは自然なことで、その子らしさを思い出せる一枚かもしれません。
普段SNSを使っていない場合は、「顔がはっきり写っていること」「いきいきした表情のもの」を基準にすると、額に入れたときに自然にまとまります。背景がごちゃごちゃしていても、次に書くように、スマホの中で整えられます。
スマホの写真を整える——アプリでできること

「いい表情なんだけど、後ろに洗濯物が写ってる」「ちょっと暗い」。そんな一枚でも、諦めなくて大丈夫です。スマートフォンに最初から入っている写真アプリだけで、遺影として飾れる程度には整えられます。
まずはトリミング。その子の顔が中心に来るように切り抜くだけで、背景の余計なものはかなり減ります。次に明るさ。室内で撮った写真は少し暗めなことが多いので、「明るさ」や「露出」を少し上げると、表情がぐっと見やすくなります。ここまでは、iPhoneやAndroidの標準の写真アプリで数回タップすれば終わります。
背景をもう少し整えたいときは、無料の写真加工アプリに「背景ぼかし」や「背景を消す」機能があります。ポートレート風にふわっとぼかすだけで、その子だけが浮かび上がるような一枚になります。ただ、やりすぎると「知らない子」のように見えてしまうことも。加工は、その子らしさが残る程度に留めるのがいちばんだと思っています。
印刷するサイズと方法

飾る場所に合わせてサイズを選ぶと、収まりがよくなります。
| 飾る場所 | 目安サイズ |
|---|---|
| お骨壷のそば・小さな棚 | L判(89×127mm)/ハガキサイズ(100×148mm) |
| 棚の上など少し離れた場所 | 2L判(127×178mm) |
| インスタの投稿をそのまま | 正方形(ましかく)プリント |
お骨壷のそばに置くならL判やハガキサイズが扱いやすく、小さめの額とも合わせやすいです。少し距離のある場所なら2L判程度があると見えやすくなります。インスタグラムの投稿をそのまま使いたい場合は、正方形トリミングのままプリントすると画角が活きます。
印刷は、コンビニのマルチコピー機か、カメラのキタムラなどの写真プリントサービスが手軽です。スマートフォンから直接データを送れるアプリも多く、数十円〜数百円で仕上がります。「ペット用の遺影サービス」のような専用のものを探さなくても、普通の写真プリントで十分きれいに仕上がります。
フォトフレームの選び方——手作りという選択も
印刷した写真を入れるフォトフレームは、お骨壷との雰囲気を意識して選ぶと、飾ったときの印象が変わります。ホワイト・グレー・ナチュラル木材などのシンプルなフレームなら、インテリアにも馴染みます。お骨壷が白やグレー系なら、フレームも無彩色でまとめるとすっきりします。
高価なものである必要はありません。100円ショップや雑貨店の小さなフレームでも、写真が入ればそれはもうその子の場所です。フレームに首輪のチャームを添えたり、好きだったおやつの袋の柄を切り抜いて縁に貼ったり——手を動かして飾りつけをする時間そのものが、気持ちの整理につながることもあります。
どこに飾る?——祭壇やメモリアルスペースとのつながり

写真は、お骨壷やお花と並べて飾ることで、その子を思う場所の中心になりやすい存在です。祭壇やメモリアルスペースを整えるときも、まず写真を置くところから始めると、ほかに何を並べるか決めやすくなります。
置く場所に決まりはありません。リビングの棚、玄関の一角、寝室のサイドテーブル。家族がよく目にする場所、その子がよくいた場所。そこが自然と「その子の場所」になっていきます。
祭壇として整えたい場合の配置や必要なものは、別の記事で詳しくまとめています。

仏壇に写真を置いてはいけないのはなぜ?
「仏壇に写真を置いてはいけない」というのは、人の仏壇の話です。仏壇は仏さま(ご本尊)をお迎えする場所なので、中には写真を置かないでほしい、と考えるお寺があります。
浄土真宗の真宗大谷派にも、本堂に遺影を飾らないのと同じく、仏壇にも飾らないほうがよい、という法話があります。写真は仏壇の前や横に、という仏壇店の案内もあり、考え方は宗派やお寺で分かれます。
ペット用の仏壇や祭壇には、こうした決まりはありません。家族の仏壇に一緒に置くか迷うときは、「人と同じ仏壇に置いていい?」にお寺への聞き方をまとめています。
写真とお骨壷、2つを並べるところから
写真とお骨壷をそばに並べる——シンプルにその2つが揃うだけで、供養の場所になります。
「これで合ってるのかな」と不安になることもあるかもしれません。でも、遺影に正解はありません。その子の姿を思い出せる大切な一枚があって、それをそばに置いている。それだけで十分です。フォトフレームの色や形は、写真を飾る場所に合わせて選んでみてください。


このあと何をすればいいのか、順番が分からなくなったときは、看取りから火葬・供養・手続きまでの流れを「ペットのお見送りガイド」に時系列でまとめています。必要なところだけ、開いてみてください。
参考にしたページ・資料
真宗大谷派の、お内仏(仏壇)に遺影を飾ることについての法話 … 真宗大谷派(東本願寺)青少幼年センター「法話」
仏壇の中に故人の写真を置くことについて … 仏壇店の共同サイト「ぶつだんやさん」よくある質問



