「うちの子のお骨を、これからも大切にしていきたい」。そんな思いで湿気対策を調べるうちに、乾燥剤・除湿剤・調湿剤という似た名前に迷うことがあるかもしれません。選ぶときの手がかりは、湿気を取り除くのか、湿度の変化をやわらげるのかという働きの違いです。それぞれの特徴を、お骨壷での使い方とあわせてご紹介します。
乾燥剤・除湿剤・調湿剤、何が違うの?
この3つは、商品によって呼び方が重なることもあります。名前だけで決めず、素材や使う場所、取り扱い方法まで見ると選びやすくなります。まずは、代表的なタイプの違いを見ていきましょう。
乾燥剤|余分な湿気を吸い取るもの
乾燥剤は、まわりの湿気を吸い取り、乾いた状態を保つためのものです。代表的なのは、小さな粒状のシリカゲル。吸える湿気の量には限りがあり、交換が必要なものと、指定の方法で乾燥させて繰り返し使えるものがあります。繰り返し使えるタイプは、まわりが乾くと吸った湿気を少しずつ出すので、働きは調湿剤に近くなります。再利用の方法は商品ごとに異なるので、表示を確認してお使いください。
除湿剤|水がたまる置き型タイプは、お骨壷の外で
除湿剤にもさまざまな種類がありますが、押し入れなどに置くタンク式は、吸い取った湿気が液体となって容器にたまる仕組みです。こうした製品は、お骨壷の中に入れる用途には向いていません。たまった液体がこぼれると、お骨やお骨壷に触れてしまうおそれがあるためです。使う場合は、製品が指定する場所や置き方を守り、お骨壷のまわりの湿気対策として考えましょう。
調湿剤|湿気を吸ったり放したりして、変化をやわらげるもの
調湿剤は、まわりの湿度に応じて湿気を吸ったり放したりする素材を使い、湿度の変化をゆるやかにするものです。たとえば、珪藻土(けいそうど)という小さな穴をたくさん持つ土の素材や、同じように細かな穴のあるセラミックなどがあります。この穴の多い構造を「多孔質(たこうしつ)」と呼びます。ただし、働きは素材や量、置く環境によって異なり、湿度をいつも一定に保てるわけではありません。
3つの違いを、お骨壷での使い方とあわせて表にまとめました。
| 比べる点 | 乾燥剤 | 除湿剤(タンク式) | 調湿剤 |
|---|---|---|---|
| はたらき | 湿気を吸い取って乾いた状態にする | 湿気を吸い、水として容器にためる | 湿気を吸ったり放したりして変化をやわらげる |
| 代表的な素材 | シリカゲル | 塩化カルシウムなど | 珪藻土・セラミックなど |
| お骨壷の中で使える? | 骨壷用なら可 | 入れない(こぼれるおそれ) | 骨壷用なら可 |
| 向いている使い方 | 湿気を取りたいとき(納めたはじめ・梅雨・夏場など) | 骨壷のまわりの押し入れ・棚に | 一年を通した基本のお手入れに |
| お手入れ・交換 | 交換、または乾かして再利用 | 水がたまったら捨てて交換 | 陰干しして繰り返し使えるものが多い |
名前が似ていても、お骨壷の中に入れてよいかどうかが大きく分かれます。使い分けの目安は、次の見出しでくわしく見ていきます。
お骨壷には調湿剤を基本に、気になる時期は乾燥剤を
お骨壷の中の環境を長く穏やかに整えたいときは、骨壷用の調湿剤を基本に考えると選びやすくなります。湿度の変化をやわらげながら、お手入れをして繰り返し使えるものもあります。その子のそばに長く置くものだからこそ、ご自身が無理なく扱えることも大切です。
お骨を納めたはじめの時期や、梅雨・夏場など、湿気がとくに気になるときには、シリカゲルなどの乾燥剤を一時的に併用する方法もあります。余分な湿気を乾燥剤で取り除き、その後は調湿剤でゆるやかに整える、という考え方です。併用する場合も、骨壷に使える製品かどうかや、使用量・交換の目安を確認しましょう。季節だけで一律に増やすのではなく、置いている場所や製品の案内に合わせて考えていただければと思います。
選ぶときに、確かめておきたいこと
まず確かめたいのは、お骨壷の中で使うことを想定した製品かどうかです。素材の名前が同じでも、用途や形、必要な量はそれぞれ異なります。ふたが無理なく閉まる大きさで、取り出しやすく、お骨に負担をかけずに置けるものを選びましょう。
次に、お手入れや交換の方法を見てみてください。繰り返し使うタイプなら、どこで、どのように乾かすのかがわかると、日々の暮らしに取り入れやすくなります。交換するタイプも、時期の目安がわかりやすければ続けやすい選択肢です。長く使えることと同じくらい、ご自身の負担にならないことを大切にしていただければと思います。
珪藻土などの調湿素材も、入れるだけでカビを防ぎきれるものではありません。湿気の多い状態が続く場合には、素材自体にカビが生じることもあるため、お骨壷の置き場所とあわせて考えましょう。見た目に心がやすらぐかどうかも、選ぶときのひとつの手がかり。その子のためにそっと添えたいと思える形が見つかると、お手入れの時間も少し身近に感じられるかもしれません。
珪藻土や密閉テープはどう?
珪藻土のブロックや、蓋のまわりを密閉テープでとめる方法を見かけることもあります。珪藻土は調湿剤のひとつなので、お骨壷の中に入れる分には向いているといえます。お手入れのポイントは上で触れたとおり、ときどき陰干しをして湿気を逃がすこと。溶岩石(ようがんせき)も同じ多孔質の仲間で、珪藻土と似た使い方ができます。どちらも小袋に入れるか、お骨に直接触れないよう気をつけて添えるのが安心です。
密閉テープは、外からの湿気を防ぐ助けにはなりますが、中に湿気が残ったまま閉じてしまうと逃げ場がなくなります。テープでとめる前に、乾燥剤や調湿剤を入れて中を落ち着かせてからにするのがよさそうです。
虫がわくことはある?
火葬後のお骨は高温で焼かれているため、お骨そのものから虫がわくことは考えにくいとされています。心配になるのは、湿気でカビが出たり、骨壷カバーや布に湿気がこもったりしたとき。ふだんから湿気をためない置き方にしておけば、大きな心配はいらないはずです。もしカビが出てしまったときの手当ては、カビが生えてしまったら?の記事にまとめています。
「おこつのお守り」という選択肢
小さな穴をたくさん持つ素材でつくった調湿オブジェ「おこつのお守り」をご用意しています。お骨のいちばん上にそっとのせ、湿気が気になるときなどに取り出して、乾いた風通しのよい場所で陰干しするものです。陰干しは吸った湿気を逃がすためのお手入れで、汚れを落とすものではありません。その子のお骨壷に添えるものをお探しでしたら、選択肢のひとつとしてご覧ください。
その子を想う気持ちに、無理なく続けられるお手入れを
乾燥剤は余分な湿気を取り、調湿剤は湿度の変化をやわらげるものです。お骨壷には骨壷用の調湿剤を基本に、湿気が気になる時期だけ乾燥剤を補助として使う、という考え方ができます。水がたまるタンク式の除湿剤は、お骨壷の中には入れず、指定された用途で使いましょう。
大切なお骨のことだから、選ぶのに時間がかかることもあると思います。すぐに決めようとせず、その子のお骨壷や、ご自身の暮らしに合うものを探してみてください。「おこつのお守り」の入れ方やお手入れは、下の記事でもご案内しています。これからもそばで過ごす時間を、少し穏やかな気持ちで重ねていくためのお役に立てましたら幸いです。





