あの子のお骨を、自分のそばにも置いておきたい。離れて暮らす家族と、そんな気持ちを話したくなることがあるかもしれません。一方で、「お骨はひとつの場所に納めておきたい」と感じる方もいると思います。
分骨は、お骨の一部を分けて、別々の場所や容器に納める方法です。家族それぞれが手元で供養する選択肢のひとつですが、分けることを選ばなくても、あの子を大切に想うことはできます。この記事では、それぞれの気持ちを確かめながら考えるためのヒントをご紹介します。
「そばに置きたい」の形は、家族の中でもそれぞれ
進学や就職で実家を離れた方、別の家に暮らすきょうだい、同じ家で暮らす家族。生活する場所が違えば、あの子を思い出す時間や、落ち着く供養の形も違うかもしれません。
小さな骨壷を自分の部屋に置きたい方もいれば、家族が集まる場所にひとつの骨壷があることで安心する方もいます。写真を飾りたい方や、今は供養の形を考えること自体がつらい方もいるでしょう。
形の違いを、愛情の深さの違いと結びつけなくてもよいのではないでしょうか。まずは「どうしたいか」と、その理由を、話せる範囲で聞き合うところから始めてみてください。
分骨を考えるときも、分けたくない気持ちを大切に
「少しでも手元にあると、そばに感じられそう」と思う一方で、「分けるのは寂しい」「ひとつにしておきたい」とためらうこともあると思います。どちらかを、考えすぎやわがままと片づける必要はありません。
宗教観や、お骨に対する受け止め方も、人によって異なります。「あの子も喜ぶはず」と誰かの気持ちを代弁するより、「私はこう感じている」と伝えるほうが、お互いの思いを聞きやすくなるかもしれません。
気持ちがそろわないときは、今すぐ分けずにおくことも選択肢です。家族に知らせず進めたり、ためらっている方に結論を急がせたりせず、いったん話を休めてもかまいません。
親や義実家から「そろそろ」と言われたとき
「そろそろ、お骨を納めたら」「いつまでも家に置いておくものじゃない」——実家の親や、義理の家族からそう声をかけられて、戸惑う方もいると思います。相手に悪気がないとわかっていても、急かされているようで、素直にうなずけないこともあるのではないでしょうか。
世代や育った環境によって、お骨の扱いに対する感覚は大きく異なります。昔ながらの考え方では、一定の期間を経て納骨するもの、という感覚が根強い場合もあります。その子をそばに感じていたいという今の気持ちは、決して間違ったものではありません。
急かされていると感じたときは、「まだ気持ちの整理がついていない」と、今の状態を伝えるだけでも十分です。無理に説得しようとせず、「もう少し時間がほしい」という一言から始めてみてください。それでも意見が合わないときは、いったん結論を急がず、時間を置くことも選択肢のひとつです。
話し合いを始めるときの、やさしい伝え方
「分骨しよう」と結論から話すより、今の自分の気持ちと、相手に聞きたいことを分けて伝えてみる方法があります。たとえば、こんな言い方です。
「離れて暮らしていても、少しだけそばに置けたらと思っているんだ。お骨を分けることを、どう感じる?」
「今はまだ、ひとつの骨壷にいてほしい気持ちがあるの。すぐには決めずに、少し待ってもらえるかな」
「分骨するかどうかは、今日は決めなくてもいいと思う。それぞれが、どう過ごしたいかを聞かせてもらえたらうれしい」
話しているうちに涙が出たり、言葉が見つからなくなったりしたら、続きは別の日でも大丈夫です。一度の話し合いで、すべてを決める必要はありません。
分骨することになったら、相談しておきたいこと
家族で分骨する方向になったら、次のような点を少しずつ確認しておくと、準備を考えやすくなります。
誰が、どのくらいのお骨を手元に置くか。少量を分けるなど、それぞれの希望を聞きながら考えます。同じ量にそろえることだけを公平さの基準にせず、無理なく大切にできる形を話し合ってみてください。
いつ、どこで分けるか。火葬時に希望する場合は、依頼先に事前に相談しましょう。すでに骨壷に納めている場合も、扱いに不安があれば、お見送りをお願いした事業者などに相談できます。自分たちだけで行わなければ、と抱え込まなくてかまいません。
どんな容器に納めるか。部屋に置くのか、身につけたいのかによって、候補は変わります。分骨用の骨壷や遺骨を納める容器を選ぶときは、容量・口の大きさ・蓋の閉め方を確認してください。小さな容器に合わせて、無理にお骨を入れようとしないことも大切です。
これからの保管について。引っ越しなどで暮らしが変わったときは誰に相談するか、将来納骨を考えるかなど、今話せる範囲で共有しておくとよいでしょう。先のことまで決めきれなければ、「そのときにまた相談する」という約束でもかまいません。
家族の暮らしに合わせた、いくつかの例
次は、分骨や手元供養を考えるための例です。どれかに合わせる必要はなく、ご家族の気持ちに近いものがあれば参考にしてみてください。
実家と、離れて暮らす家族で。実家の骨壷にお骨を残し、一部を小さな骨壷に分けて別の住まいに置く。実家に残る家族の希望も聞きながら、量や時期を相談します。
同じ家の中で。家族が集まる場所の骨壷とは別に、希望する方が自室で少量のお骨を手元に置く。全員が同じ持ち方を選ばなくても、話し合える形です。
お骨を持つ方と、写真を飾る方で。分骨を希望する方はお骨を手元に置き、ほかの方は写真や思い出の品を大切にする。それぞれの方法を認め合う形も考えられます。
今は分けず、写真をそれぞれのそばに。お骨はひとつの場所に納めたまま、同じ写真を家族で持つ。後から分骨について考え直す余地を残しておいてもよいと思います。
同じ形でなくても、想う時間を分かち合えたら
分骨すること、ひとつの骨壷に納めておくこと、今は決めずにいること。どの選択にも、それぞれの事情や気持ちがあると思います。
誰かの安心のために、別の誰かが気持ちを押し込めすぎないこと。すぐに答えが出なくても、お互いの言葉を聞く時間を大切にしながら、ご家族に合う形を探していただけたらと思います。
分骨の基本や骨壷の選び方については、以下の記事でもご紹介しています。必要なところから、ゆっくりご覧ください。
このあと何をすればいいのか、順番が分からなくなったときは、看取りから火葬・供養・手続きまでの流れを「ペットのお見送りガイド」に時系列でまとめています。必要なところだけ、開いてみてください。




