ペットの戒名(かいみょう)は、亡くなったその子に仏教の考え方でつける、もうひとつの名前です。「戒名 例」で調べても人の例ばかりで、犬や猫ならどんな名前になるのかが分かりにくい——そんな声をよく聞きます。この記事では、犬・猫それぞれの戒名の例を表にして、付け方の考え方、授かれる場所と費用の目安、法名との違いまでをまとめました。
ペットの戒名はどんな形?基本の組み立て
ペットの戒名に、決まった形式はありません。お寺で授けてもらう場合は、生前の名前を一文字か二文字残し、性格や姿を表す漢字を添えた短いものが多いようです。人の戒名のように「〇〇院」と長くなることは少なく、ひらがなの名前をそのまま生かすお寺もあります。

組み立てはおおむね三つの要素。まず、呼び名を漢字に置き換えるか、一文字だけ残す。次に、毛色や性格を表す漢字を一つ添える。最後に、末尾の言葉を添える。
末尾の「童子(どうじ)・童女(どうにょ)」は子どものように愛らしい存在として、「信士(しんじ)・信女(しんにょ)」は人の戒名に近い形として使われることがあります。どれが正しいというものではなく、お寺の考え方によって変わります。
犬・猫の戒名の例
ここからは、形のイメージがつかめるように例を並べてみます。あくまで一例で、実際にはお寺や、その子の思い出をどう伝えるかによって変わります。
犬の戒名の例
| 生前の名前 | 戒名(読み) | 込めた意味 |
|---|---|---|
| レオくん | 獅子王信士(ししおうしんじ) | 名前の意味をそのまま漢字に |
| クロくん | 玄福童子(げんぷくどうじ) | 黒い毛色を「玄」で表す |
| ハナちゃん | 花光童女(かこうどうにょ) | 名前の「花」に、明るさの「光」を添えて |
| ココちゃん | 心和童女(しんわどうにょ) | 「ここ」の響きを「心」に、穏やかな性格を「和」で |
| マロンくん | 栗風童子(りっぷうどうじ) | 名前を栗に置き換え、走るのが好きだった姿を「風」で |
猫の戒名の例
| 生前の名前 | 戒名(読み) | 込めた意味 |
|---|---|---|
| モモちゃん | 桃花童女(とうかどうにょ) | 名前を漢字に置き換え、女の子なら「童女」 |
| ミケちゃん | 三彩童女(さんさいどうにょ) | 三毛の毛色を「三彩」で表す |
| ソラくん | 空澄信士(くうちょうしんじ) | 名前の「空」に、澄んだ瞳の印象を添えて |
| シロくん | 白雪童子(はくせつどうじ) | 白い毛色をそのまま、やわらかい印象に |
| ルナちゃん | 月光童女(げっこうどうにょ) | 「ルナ=月」を漢字にして、夜に寄り添ってくれた思い出を |
こうして見ると、その子の名前や毛色、好きだったことが、ちゃんと名前の中に残っていますよね。戒名というと少しかたい言葉に聞こえますが、実際にはこんなふうに「その子らしさを漢字で残す」ものと受け取るとわかりやすいと思います。
ペットに戒名は必要?法名との違い
ペットに戒名を授けることは、必須ではありません。人の供養とは違って宗教的な義務があるわけではなく、戒名がないと成仏できない、ということもないようです。ただ、「ちゃんとした名前で送り出してあげたい」「位牌に刻む言葉として残したい」という気持ちから希望する方もいます。
なお、浄土真宗では戒名ではなく「法名(ほうみょう)」と呼び、末尾に「釋(しゃく)」の字がつくのが特徴です。ペット供養で授かる場合も、お寺の宗派によって呼び方や形が変わります。どちらも「仏の弟子としての名前」という意味は同じなので、呼び方の違いだけ知っておけば十分です。
どこで授かれる?費用の目安
いちばん多いのは、ご家庭の宗派——つまり、ふだんお付き合いのある菩提寺(ぼだいじ)にお願いする形のようです。家族と同じ宗派の名前で送ってあげたい、という気持ちからだと思います。ただ、お寺によってはペットの戒名を扱っていないところもあるので、まずは一度相談してみるのが早道です。
菩提寺がない場合や断られた場合は、ペット専門のお寺やペット供養に対応している寺院、ペット霊園で依頼できます。こちらは宗派を問わないところが多いようです。費用はお寺によって幅がありますが、数千円〜数万円程度が目安。永代供養とセットになっている場合や、位牌の制作と合わせて依頼できるケースもあります。金額はあらかじめ確認しておくと安心です。
生前の名前のまま、という選び方も
実際のペット供養では、戒名をつけずに生前の名前をそのまま位牌や骨壷に刻む方がほとんどです。「ずっとその名前で呼んできた」「その名前がいちばんその子らしい」。そう思うなら、それがいちばん自然な形だと思います。名前と一緒に命日や短い言葉を添えるなら、骨壷の刻印という方法もあります。

戒名をつけるかどうかで、供養の深さが変わるわけではありません。呼び慣れた名前を、これからも呼び続ける。それだけで、その子はちゃんと家族のそばにいるはずです。



ほかの言葉の意味も確かめたくなったら、火葬・遺骨・納骨・法要の言葉を場面ごとに並べた「ペット供養の言葉と意味」の一覧へ。読み方から探せる五十音の索引もあります。



