停電からペットを守る備え|室温・自動給餌器・給水器、留守番中の対策

災害時に持ち出すペットの防災リュックと避難グッズ

留守番中のこの子のために、エアコンをつけて、自動給餌器をセットする。外出先ではカメラを開いて、いつもの場所で眠っている姿を確かめる。そんな毎日を送っている方もいるのではないでしょうか。

便利な機器は、この子との暮らしを支えてくれます。一方で、停電すると、室温の管理、ごはん、水、トイレ、見守りが一度に使えなくなることがあります。家や家具に被害がなくても、電気が止まるだけで、いつものお世話が続けにくくなるのです。

停電への備えは、「電気がなくても、この子が過ごせる方法」を用意しておくこと。この記事では、犬や猫のいる家庭で確認しておきたい機器のことから、夏と冬の室温対策、留守中の連絡、復旧後の確認までをまとめました。

目次

停電したら、まずこの子の様子と室温を確認する

家にいるときに停電したら、まず飼い主自身が安全に動ける場所で明かりを確保し、この子がどこにいるか、呼吸や動きに変化がないかを見てください。暗い中で探し回らずにすむよう、電池式のライトを決まった場所に置いておくと役立ちます。

次に確かめたいのは、室温と飲み水です。スマートフォンで見る温湿度計だけでなく、電池式など、その場で数字を読めるものがあると、通信が途切れても室内の変化を確認できます。この子がふだん過ごす高さや場所で見るのがよさそうです。

停電の範囲や復旧の見通しは、地域の電力会社の公式情報で確認します。ただし、復旧予定は変わることがあります。「もう少しで戻るはず」と待ち続けず、この子の様子や室温に合わせて、過ごす場所を変えることも考えておきましょう。

自動のお世話機器が止まると、何が困る?

停電時の動き方は、同じ種類の機器でも製品によって違います。電池に切り替わって一部の機能が動くものもあれば、電源が切れると止まるものもあります。「電池が入っているから全部使える」と考えず、手元の説明書で確認しておくことが大切です。

自動給餌器:フードが入っていても、食べられるとは限らない

タンクの中にフードが残っていても、停電で給餌が止まると、この子が口にできないことがあります。予備電池の有無だけでなく、電池で予約給餌が続くか、通信が切れても設定が残るかを確認しておきたいところです。

メーカーの案内でも、電池で動く機種について、電池の残量低下が給餌の不具合につながる場合があると説明されています。対応する電池を入れ、交換時期も見ておくとよさそうです。参考:PETLIBRO・電池運転に関する案内(対象機種限定)

いつもの食器と、手で量れる計量カップも残しておきましょう。家族が代わりにお世話をする場合に備え、1回の量と時間をメモしておくだけでも、引き継ぎがしやすくなります。冷却機能のある給餌器は、停電中のフードの扱いも説明書で確認してください。

自動給水器:タンクの水と、飲める水は別のこと

循環式の給水器は、ポンプが止まると水が流れなくなります。受け皿に水が残る製品もありますが、タンクに水があるだけでは、この子が飲める状態かどうかはわかりません。

電気を使わない水皿を、ふだんから別の場所にも置いておく方法があります。倒れにくく、この子が飲み慣れた器を選び、清潔な水に取り替えます。流れる水に慣れた子なら、停電する前から水皿を使う機会をつくっておくとよさそうです。

全自動猫トイレ:掃除が止まっても、排泄できる場所を

全自動猫トイレは、停電で清掃が止まったり、停止位置によって使いにくくなったりする可能性があります。停電時に出入りできるか、途中で止まったときにどう扱うかは、製品の説明書に沿って確認してください。

予備として、普通のトイレ容器、使い慣れた猫砂、スコップを用意しておくと、手で掃除する方法に切り替えられます。初めて見る容器をためらう子もいるので、ふだんから置いて慣れてもらうのもひとつの方法です。

見守りカメラ:映らないときは、室内の状態もわからなくなる

カメラ本体に電源があっても、Wi-Fiルーターや回線側の設備が止まれば、外から映像を見られないことがあります。アプリの通知や遠隔操作も、電気と通信の両方に支えられています。

「カメラがオフライン=停電」とは限りませんが、見られない間は室温やこの子の様子を確かめられません。画面が戻るのを待つだけでなく、家族に連絡するなど、別の確認方法も決めておきましょう。

夏の停電は、エアコンが止まったあとの居場所を考える

夏は、室内にいても熱中症が起こることがあります。窓の向き、日当たり、建物の造りによっても暑くなり方は違います。年齢や体格、持病などでも影響の受けやすさが変わるため、「何度までなら大丈夫」「何時間なら待てる」と一律には決められません。参考:アニコム損保・STOP熱中症プロジェクト

日差しの入る窓はカーテンなどで遮り、家の中で比較的涼しい場所へ移れるようにします。窓を開ける場合は外の暑さや天候も確かめ、この子が出てしまわない対策を先に。網戸だけに頼らず、開口部に近づけない工夫を考えてください。

充電式の扇風機や保冷用品は補助になりますが、エアコンと同じように室温を下げられるわけではありません。凍らせたペットボトルなどを使う場合はタオルで包み、かじったり中身を口にしたりしないよう見守り、この子が冷たい場所から離れられるようにします。

室温の管理が難しくなりそうなら、体調を崩す前に移れる場所を考えることが大切です。停電していない親族の家や、受け入れ可能な預け先などを候補にし、利用できるか連絡してから移動します。駐車中の車にこの子だけを残すことは避けてください。

呼吸がいつもより速い、よだれが多い、ぐったりしているなどの変化があれば、復旧を待たず動物病院へ連絡し、受診や移動中の対応について指示を受けてください。

冬の停電は、暖房がなくても休める場所を

冬は、暖房やペット用ヒーターが止まったあとの冷えに気を配ります。子犬・子猫や高齢の子、体調を崩している子などは、ふだんと同じように寒さに対応できないことがあります。

すきま風の当たりにくい場所にベッドを移し、床との間にマットを敷く、使い慣れた毛布を足すなど、電気を使わない方法を用意しておきましょう。キャリーやケージを覆う場合も通気をふさがず、様子が見える状態にします。

湯たんぽや使い捨てカイロなどを使うときは、製品の使用方法に従い、直接体に触れ続けないようにしてください。低温やけどや、容器をかじって中身を口にしてしまうことにも注意が必要です。タオルで包み、少し離した位置に置くと安心です。震えが続く、反応が鈍いなど、いつもと違う様子があれば獣医師へ相談しましょう。

鳥・小動物・爬虫類など、特に温度管理が大切な子や、酸素濃縮器などを使っている子は、必要な環境や機器を止められる時間が異なります。かかりつけの獣医師や機器の提供元と、予備電源と移動先を事前に相談しておくことをおすすめします。

水とフードは、電気を使わずに用意できる形で

停電の影響で建物の給水ポンプが動かなくなるなど、水道も使えなくなる場合があります。飲み水は自動給水器のタンクだけに頼らず、別に保管しておくと、お皿に移して使えます。

環境省は、ペットフードや水などについて少なくとも5日分、できれば7日分以上の備蓄を示しています。停電がその日数続くという意味ではなく、物資が手に入りにくいときにも備えるための目安です。出典:環境省・災害時のペット対策に関する資料

いつも食べているフードを少し多めに買い、使った分を補充する方法なら始めやすくなります。療法食が必要な子はその分も考え、缶詰なら開け方、食器を洗えないときの扱いも確認しておきましょう。開封後に冷蔵が必要なフードは、保存表示に沿って扱い、停電中に長く出しっぱなしにすることは避けます。

留守中の停電に備えて、頼れる人と手順を共有する

外出中に停電すると、すぐに帰れないこともあります。そんなときの備えは、機器を増やすことだけではありません。「誰に連絡するか」「安全に家へ入れるか」「この子をどこへ連れていくか」を、頼れる家族などと話しておくことも役立ちます。

共有する内容は、いつもの居場所、水やフードの置き場所、ごはんの量、キャリーの場所、動物病院の連絡先など。鍵の受け渡しや入室の許可も、相手と事前に決めておきます。通信が使えない場合に備え、必要な連絡先を紙にも残しておくとよさそうです。

玄関に「この家にはペットがいます」と示しておくことも、訪ねてきた人への手がかりになります。doccoの「ペットの玄関サイン」も、そのための備えのひとつです。サインは停電を知らせたり救助を約束したりするものではありませんが、事前に頼んだ人との連絡やお世話のメモと合わせて、この子の存在を伝える助けになることがあります。

予備電源は「何に、どれくらい使うか」から考える

モバイルバッテリーやポータブル電源を用意するときは、使いたい機器を先に決めると選びやすくなります。スマートフォンの充電、ライト、対応する給餌器など、用途を絞って確認してみてください。

確認したいのは、機器の消費電力、電源側の出力、容量、対応する接続方法です。容量の「Wh」は蓄えられる電気の量、出力の「W」は一度に使える電力の目安です。エアコンや暖房器具は必要な電力が大きく、接続できない、思ったほど長く動かせない場合があります。

使用時間は接続する機器や電気の変換ロス、気温などでも変わります。メーカーの適合情報を確かめ、説明書の範囲で在宅中に試しておくと、使える機能がわかります。医療に関わる機器の電源は、自己判断で代用品をつながず、提供元へ相談してください。

また、燃料を使う携帯発電機と、充電して使うポータブル電源は別のものです。携帯発電機は一酸化炭素中毒のおそれがあるため、屋内や車内では使わないでください。屋外でも排気が窓や換気口から入らない位置など、メーカーの注意事項に従って設置します。参考:NITE・停電時の発電機と復旧後の注意点

電気が戻ったら、いつものお世話に戻れているか確認する

部屋の明かりがついても、すべての機器が元どおりに動いているとは限りません。復旧後は、この子のそばで次の点を確認してみてください。

  • エアコンが運転を再開し、設定した温度やモードになっているか
  • 給餌器の時計・予約がずれていないか。実際に食べた量を確かめ、二重に与えていないか
  • 給水器に水があり、ポンプが正常に動いているか
  • 猫トイレが使える状態か。再起動や清掃は説明書に沿って行えているか
  • カメラの映像や温湿度の表示が、古い記録ではなく現在のものか

濡れたり破損したりした電気製品は、復旧してもそのまま使わず、メーカーなどへ確認してください。復旧後の通電による事故についても、NITEが注意を呼びかけています

停電に気づいたら、まずこのチェックリストを

ここまでの内容を、停電が起きた直後にすぐ確認できる形でまとめました。慌てたときほど、順番に見ていくと動きやすくなります。

  • この子の様子:いつもいる場所にいるか、呼吸や動きに変わったところがないか
  • 明かりの確保:電池式のライトなど、決まった場所に置いてあるものを手元に
  • 室温:電池式の温湿度計など、その場で数字が読めるもので確認
  • 自動給餌器が止まっていないか。止まっていたら、いつもの食器と計量カップで手動に切り替える
  • 自動給水器のポンプが動いているか。止まっていたら、電気を使わない水皿に切り替える
  • 全自動トイレが使える状態か。使いにくければ予備のトイレ容器に切り替える
  • 見守りカメラが映らないときは、家族への連絡など別の確認方法に切り替える

これらをひととおり確認したうえで、季節に応じた室温対策や、停電が長引きそうなときの連絡・移動先の検討に進むと、抜けもれが少なくなります。

まとめ:まずは、水皿をひとつ用意するところから

停電への備えで見ておきたいのは、室温、水とごはん、トイレ、そして留守中に様子を確かめる方法です。電動の機器が止まったときの代わりと、家で過ごすのが難しくなったときの移動先を考えておくことが、この子の暮らしを支える備えになります。

完璧に揃えなくて大丈夫です。まずひとつ、給水器のそばに普通の水皿を置く。給餌器の説明書で「停電」の項目を読む。それだけでも、今日からできます。いつものお世話を少し見直しながら、この子に合う備えを増やしていけたらと思います。

防災に関するルールや対応は自治体・状況によって異なります。お住まいの地域の防災情報や、かかりつけの獣医師にも相談しながら備えていただくことをおすすめします。

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