ペットを見送るとき、もっとも悩ましいのが「どんなお骨壷を選ぶか」ということです。
最近では、インテリアになじむおしゃれなお骨壷や、北欧テイストのデザイン性の高い骨壷も増えています。けれど、見た目の印象だけで選んでしまうと、「思っていたより小さかった」「お部屋の雰囲気に合わなかった」と感じることもあります。
お骨壷は、一度選ぶと長く寄り添うもの。だからこそ、サイズ・素材・デザインの3つの観点を整理して選ぶことが大切です。陶器や金属、ガラスや天然木など、素材によって印象や扱いやすさも異なります。
この記事では、おしゃれさと実用性の両方を大切にしながら、納得して選べるようにわかりやすく解説します。
お骨壷のサイズを選ぶ前に知っておきたいこと
お骨壷のサイズは「寸(すん)」という単位で表されます。
1寸=約3センチで、一般的には壷の直径を指します。
代表的なサイズと容量の目安は次のとおりです。
| 寸法 | 直径の目安 | 容量(cc) | 対応するペットの目安 |
|---|---|---|---|
| 2寸 | 約6cm | 約200cc | 小動物・ハムスター・小鳥など |
| 3寸 | 約9cm | 約500cc | 小型犬〜 |
| 4寸 | 約12cm | 約1000cc | 猫・小型犬〜 |
| 5寸 | 約15cm | 約2100cc | 中型犬〜 |
| 6寸 | 約18cm | 約3,000~3,500 cc | 大型犬〜 |
| 7寸 | 約21cm | 約4,500~5,500 cc | 超大型犬 |
容量はお骨の量で判断するのが基本です。
全骨を納める場合は、火葬後に残るお骨がゆとりをもって入るように「少し大きめ」を選ぶと安心です。
逆に、分骨にて供養する場合は、2〜3寸程度の小さめの骨壺を用いる場合が多いようです。
また、体重だけでなく骨格の太さや火葬方法によってもお骨の量は変わります。骨壷を購入する前に、火葬業者さんに「全骨を収めるにはどのくらいのサイズが良いか」を事前に確認しておくと失敗がありません。
素材による違いと特徴を知る
お骨壷にはさまざまな素材があります。ここでは、その中から代表的なものをいくつか取り上げました。
それぞれに長所と注意点があり、置く場所や環境に合わせて最適な素材を選ぶことが大切です。
陶器
最も一般的で、古くからお骨壷の主流とされる素材です。適度な重みがあり、安定感に優れています。焼き締めによって生まれる密度の高い表面は湿度の影響を受けにくく、日本の四季にも適しています。長い年月を経ても変質しにくく、世代を超えて大切に保管できる点も魅力です。さらに、釉薬の仕上げによって光沢や手触りが異なり、やわらかなマット調から艶のあるタイプまで表情が豊かで、静かな存在感があります。
金属(真鍮・アルミなど)
丈夫でありながら軽量で、衝撃にも強い素材です。落下や移動の際にも安心感があり、割れたりする心配がないのが一番の強みといえるでしょう。ねじ式のふた構造を採用している場合は密閉性が高く、湿気やホコリを防ぎやすく持ち運びにも適しています。
ガラス
透明感と色の美しさが際立つ素材です。光を受けると柔らかく反射し、置く場所や時間帯によって印象が変わります。職人の手による吹きガラスやモールド加工など、工芸品のような仕上がりを楽しめるのも魅力です。割れやヒビには注意が必要ですが、その繊細さゆえに特別な輝きを放ち、空間に静かな美しさを添えます。
天然木・ウッド
自然の木ならではの温もりと香りを感じられる素材です。木目や色合いはひとつとして同じものがなく、年月とともに深みを増していきます。軽く扱いやすい一方で、乾燥や湿度の変化には配慮が必要です。手に触れたときのやさしい感触は、天然木ならではのもの。しっとりとした温かさが、心を落ち着かせてくれます。種類によっては、最後に土へと還る素材を選ぶこともでき、自然と共にある祈りのかたちを叶える選択肢にもなります。
素材ごとに個性あり、分骨という手段も
陶器は湿気や温度変化に比較的強く、もっとも安定した素材です。
一方、ガラスや金属製は装飾性が高く、見た目を重視したい方に人気があります。
火葬の直後にお骨を取り上げてそのままお骨壷に収める場合は、熱への耐性も考慮が必要です。
火葬後まもないお骨はまだ熱を帯びていることもあり、天然木などの素材は扱いに注意が必要です。
その点、陶器は高温にも耐えられるため、安心して使用できます。
こうした理由から、人も動物も、現在でも陶器のお骨壷が主流となっているのです。
ただし、ペットや動物の供養では、サイズ選びが大切です。
3寸以上の大きめの容量になると、対応できる素材が少なくなる傾向があります。
特に大型犬などの場合は、安定性や容量の面からも陶器製が定番といえるでしょう。
一方で、デザインや色にこだわりたい場合は、分骨という方法を取ることで選択肢を広げることも可能です。
お骨壺のデザイン〜暮らしに溶け込む供養
ペット・動物のジャンルでも、おしゃれなお骨壺がとても多くなりました。近年は「供養を隠さない」スタイルが広がりつつあります。リビングや寝室に置いても違和感のない、おだやかな色や質感の骨壷が多く登場しています。特に、丸みのあるフォルムやマットな質感、自然素材との組み合わせは人気が高く、手を伸ばしたくなるような安心感があります。
ふたの構造にも注目しましょう。シリコンパッキンが付いているタイプは、しっかり閉まる安心感があり、傾いてもふたが外れにくい構造です。また、倒れにくい低重心設計のものは、安全性とインテリア性を両立できます。
デザインは感情にも大きく影響します。
「見ていて落ち着く」「その子らしい色合い」と感じられるものを選ぶことで、日々の暮らしの中で自然に心を寄せられる存在になります。

インテリアとの調和、普段のお部屋に似合うものを
お骨壷を選ぶときは、お部屋との調和を意識してみると、より心にしっくりくる形を見つけやすくなります。
家具や照明、部屋の色味とお骨壷の雰囲気が合っていると、そこに自然な安心感が生まれます。落ち着いたトーンの空間には、やや小ぶりでやわらかな質感のものがよく馴染みます。一方で、明るい部屋や北欧テイストのインテリアでは、丸みのあるフォルムややさしい色合いが穏やかに映えます。モダンでブラックを基調としたお部屋や、ミッドセンチュリー風の空間では、あえて少しビビッドな色やデザインのお骨壷を選ぶのも素敵かもしれません。
近年は「北欧」や「シンプル」といったキーワードが、インテリア全体の流れとしても広く支持されています。お骨壷は長く暮らしの中に置くものだからこそ、短い流行で選ぶよりも、定番で落ち着いたデザインを選ぶほうが安心です。時間が経っても飽きのこない形や色は、日々の生活に静かに寄り添い、長く心を穏やかにしてくれるでしょう。
最終的に家族みんなの「らしさ」があるか
お骨壷を選ぶとき、最後の決め手になるのは「家族が納得できるかどうか」です。
どんなに機能的でも、どんなに評判がよくても、「うちの子らしい」と感じられなければ、心から落ち着ける場所にはなりません。家族それぞれの好みやインテリアの雰囲気ともあわせて、「このデザインがいちばんしっくりくる」と思えたとき、そのお骨壷がいちばんふさわしい選択になります。
ただし、どうしても物理的にサイズが大きくなると、デザインの選択肢が限られてしまう傾向があります。それでもお気に入りのデザインを手元に置きたい場合は、分骨という方法もあります。一部を手元に残し、残りを元のお骨壷や納骨堂、あるいは自然に還すなど、心の整理に合わせて形を分けるやり方です。
その場合は、2〜3寸ほどの小さめのお骨壷を選ぶことになり、デザインの幅も広がります。手のひらにおさまるようなサイズ感はかわいらしく、お部屋の雰囲気にもやさしく馴染みます。
お骨壷は、供養のためだけでなく、これからの時間を共に過ごす“家族のかたち”でもあります。
見た目の美しさや機能性の先に、「この子らしさ」が感じられるものを選ぶことが、きっといちばんの安心につながります。
まとめ:選ぶことは、想うこと
お骨壷を選ぶ時間は、悲しみを整理する時間でもあります。
大切なのは、数字だけでなく「この子にはこれが似合う」と思える感覚を大切にすること。サイズ・素材・デザインの3つを意識しながら、暮らしに寄り添う祈りのかたちがみつかりますように。お骨壷は単なる器ではなく、その子の「おうち」のようなもの。納得して選んだ一つが、きっとこれからの時間をやさしく支えてくれます。


